消費税制の落とし穴① 新規会社設立時

税務署に提出

1  新規会社設立時

新規に会社を設立する場合、消費税に関しては注意しなければならない。まず、会社設立時、資本金が1千万円未満の会社であれば、原則、2年間は免税業者になる。これは、立上時の中小企業の税負担を軽減させるための良心的な措置であると思われるが、いくつかの落とし穴がある。つまり、免税業者のままでは損をしてしまう、すなわち受けられるべき消費税の還付を受けられないケースがあるからである。

その場合には、「課税事業者の選択届出書」を、設立時の初めての決算日(申告日ではない)までに税務署に提出しなければならない。これを失念すると、本来、還付されるべき消費税は返ってこないことになる。

2 典型的なケース

まず、輸出入に関して消費税はかからないので、とくに輸出業者では、仕入れ控除を適用すれば、消費税が還付されることになる。したがって、輸出業者は、「課税事業者の選択届出書」を税務署に提出しておく必要がある。

つぎに、設立開始後に多額の設備投資を行う場合には、あらかじめ「課税事業者の選択届出書」を提出しておれば、設備投資にかかった消費税が還付されることになる。

ただし、一旦、課税事業者を選択すると、2年間は免税業者に戻ることも、簡易課税業者を選択することもできないので、2年後までシミュレーションして考慮しておく必要がある。

3 法人成りの場合

個人から法人成りする場合、個人の所有していた固定資産を法人に引き継がなければならない。この場合、承継の仕方は、資産譲渡や現物出資などの方法が考えられるが、いずれの方法によっても、個人が課税事業者であれば、まず個人側で消費税がかかってくる。

そのうえで、受け入れ側の法人で消費税が仕入れ控除できるかどうかが問題となってくる。法人の資本金が1千万円以上であれば、初めから、課税業者になるので、固定資産に対する消費税は仕入れ控除が適用できるので還付される。しかし、資本金が1千万円未満の会社では免税業者となるため、消費税の還付するためには、あらためて「課税事業者の選択届出書」を提出しなければならないということになる。

4 医療法人の場合

個人のお医者さんが医療法人成りするときには注意しなければならない。というのは平成19年の改正により、持分がある医療法人は認められなくなったため、出資額は資本金とならず、基金となる。そのため、出資の金額にかかわらず、すべて一旦免税業者になってしまう。もちろん、普通のお医者さんでは、保険診療報酬がほとんどなので、単純には課税業者にはならない。しかし、自由診療が多い、美容整形外科や、不妊治療中心の婦人科や、インプラント治療中心の歯科医などでは、課税事業者になることが多い。そのうえ、自由診療が多いお医者さんでは、たいがい、設備機械の投資金額も大きい。そのため、医療法人成りした時に、個人から法人へ多額の固定資産が譲渡されることになる。その場合、個人側は課税業者なので消費税がかかることは当然であるが、受け入れ側の法人は免税業者になっているので、あらためて「課税事業者の選択届出書」を提出しておかなければ、消費税の還付は受けられないことになる。持分なしの医療法人では出資が1千万円以上であっても、それは資本金ではなく基金であるから、自動的に課税業者にはならないという点も注意を要する。

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