ホテル側(以下法人という)から料理長として運営委託を任されていたケース

法人との雇用契約によって勤務し、給与の支払いを受けている料理長である請求人が、法人から当該ホテルの調理場における料理人の手配並びにその管理及び調理の支持等の依頼を受け、その調理人に対する給与のほかに、調理委託料として受け取っていた金員が、給与に該当するのではないかが争われた

調理委託料の内容の事実認定

  • 料理長がメニューの考案、価格の決定、材料の選定、発注、在庫管理及び調理を行っていたほか、調理上に勤務する料理人を確保し、給与支給や出勤状況の管理を行っていたこと。

  • 法人は給与とは別に「調理場委託料」の名目で金員を受領していたこと。

  • 料理長は自ら各料理人を確保し、各料理人の出勤状況を管理するとともに、本件金員の中から給与を支払っていたこと。

総合判断

料理長の判断で各料理人を採用し、彼らを指揮監督しながら調理業務を行い、各料理人に対する給与も調理委託料の内から料理長の判断で支払っていた。このことは、料理長が独立の立場で、反復継続して、各料理人を雇って調理場を運営していたものと認められ、消費税法の事業として行っていたものと判断されました。

その他の業種でよく起こるケース

  • バーやクラブでのホステスに支払う報酬

  • マッサージ師に支払った報酬

  • 電気配線工事業務に従事していた者への報酬

  • 人材派遣業における人材に支払う報酬

人材派遣業は要注意である

人材派遣業においては、自社が雇用している人材を派遣するわけであるから、その支払いに関しては全額給料となるため、仕入税額控除ができない。したがって、請負金額の粗利が10%では、消費税率が10%であるから、その他の経費がまかなえず赤字となる。最低限、20%から30%の粗利がなければ請け負うことはできない。こんな単純なことが分かっていない経営者が多い。そして、簡易課税届出書を出すなど、消費税対策をしっかりと考えなければならない。