小規模宅地等の特例(相続税)あれこれ ① 沿革
1 特例の趣旨
被相続人から相続した財産のうち宅地の中には、相続人にとって生活の基盤となっている(居住用や事業用として利用されているなど)ものが存在し、これらにつき、たとえば相続税の納税資金のために換金処分しようとすれば、相続人の生活の基盤を失うことになりかねない。こういった納税者の制約を斟酌(しんしゃく)して、一定の宅地について、相当の減額をして、相続税の課税価格に算入するという規定が設けられている(措置法69の4)。
2 税法改正の経緯
この特例制度は、平成25年に大幅な改正がなされ、より一層、拡充されることとなった。これは、平成27年1月1日以降の相続税の基礎控除が40%も引き下げられ、相続税の課税対象が広がったことに対応してできた、補完的な控除制度ともいえるだろう。
3 小規模宅地等の課税の特例の推移表
要旨;課税時期が平成27年1/1以降に到来した場合には、適用面積が、事業用宅地で400㎡まで居住用宅地で330㎡まで拡大されたこと、また、居住用宅地と事業用宅地の完全併用が可能になったことが大きな改正になる。
そしてこのことは、相続対策としての土地の有効利用を考える場合や、また、生前贈与にどの財産を選ぶべきかについて、重要な考慮条件となる。
文責 増井 高一