今回は 個人の土地の上に、法人が建物を建てる場合を想定して、権利金の認定の問題を考えてみる。
さて、個人の土地の上に法人が建物を建てる場合には、権利金をいくら払えばいいのか?地代をいくらにすればよいのか?といった問題が常に生じる。とくに、土地の所有主が会社の同族関係の場合には、通常、権利金は支払わないし、地代についても、その価格を自由に設定できるように見える。しかし、この場合、法人や個人に、認定課税や贈与(受贈益)の問題が生じてくるので注意が必要である。
権利金を収受しない場合、次の4つのパターンが考えられる。

  1.  法人が相当な地代を支払うが地代は固定する。(相当な地代とは路線価ベースの評価に対しておよそ年率6%)
  2.  法人が相当な地代を払うが路線価の変動に伴い地代を改定する。
  3.  法人が相当な地代より安い地代を支払うが、無償返還届出を税務署に提出する。(無償返還の届出とは税務署に対して、あらかじめ法人はいつでも個人に更地で返還する旨の契約を結んでいることを知らせるための提出書類))
  4.  法人が通常の地代(一般的には固定資産税よりは高いが相当地代よりかなり低い)を支払うが、無償返還の届出は提出しない。

以上、4パターンがあるが、法人に認定課税の問題が生じるのは、4のケースである。ここで、認定課税とは、法人が本来支払うべき相当地代より安い地代で土地を賃借していることから生じる経済的利益を、その時点で評価した金額を、法人の権利金として、ある種の受贈益と認定して課税しようというものである(法人税基本通達13-1-3)。
しかし、これについては、種々の問題点がある。

  1. この権利金の認定という計算式が非常に操作的で分かりにくい。(式の解説は省く)
  2. 実際、その地域で権利金が支払われている慣行があるのか?その金額はどの程度なのか?
  3. 相当地代は(路線価に対する6%)はかなり高額で支払えるのか?実際、マンション経営にしても、相当な地代を支払える法人は非常に少ない。
  4. 法人に認定課税を課しても、法人に支払える資金能力がない。

ところで、実際にこの種の認定課税を受けたという話はあまり聞いたことがない。上記4つの理由にどれかによるのか、たんに、調査されないだけなのかよくわからない。
結局、借地権の認定などといっても、土地を譲渡すれば、その時すべて解消されてしまうからかもしれない。
ただし、相続税評価だけは違う。税務当局は、認定課税を行うタイミングは、基本的には、地代設定時点なので、5年もすれば時効を迎えることになる。そうなると、法人側にかなりの部分の調整借地権が生じ(法人税基本通達13-1-15(2)イ)、その分、相続税評価額における土地の底地が低く評価されることになる。つまり、相続税評価では少し得したことになるかもしれない。しかし、だからといって、最初から安い地代で契約するのも随分冒険である。
したがって、一番無難なのは、③の相当な地代より安い地代を支払うが、税務署に無償返還の届出を提出しておくという方法である。この場合でも底地評価は自用地の80%で評価できるので、少しは相続税対策になっているわけである。