節税と脱税の間② 繰越欠損金の利用

繰越欠損金をうまく使って節税をしたいとは誰しもが思いつく手法である。特に黒字会社が赤字の会社の繰越欠損金を使うために合併するというのは昔から考えられてきた。組織再編成税制では合併について100%子会社の吸収合併を認めているので、欠損金を合併法人に引き継ぐことができるように見える。しかし、その条件はかなり厳しく設定されている。たとえばみなし共同事業要件といったもので、事業関連性、事業規模、役員構成などに一定の条件を設けている。

この合併に果敢に挑戦した企業がある。ヤフーである。ヤフーは平成21年2月ソフトバンクの100%子会社IDCの株を450億円で取得した後、3月にIDCを吸収合併し、その3月の申告で、IDCが抱える540億円の繰越欠損金を法人の課税所得から控除したが22年6月に麻布税務署から更正決定通知を受け、繰越欠損金の控除を否認された。

その後、ヤフーは税務訴訟をおこない、地裁、高裁と負け、現在、最高裁に控訴しており、結論は来年まで持ち越されそうである。

しかし、おそらくヤフー側に勝ち目はないだろう。

その理由は、簡単である。つまり、一連の手続きは法的には問題がなくとも、租税回避という1本の糸で繋がっている。いや糸で繋がっているというより、1本の強い意思で貫かれているというべきだろう。要するに見え見えなのである。もちろん、個々の具体的要件を満たしているので最高裁まで争うのであろうが、たぶん徒労に終わるだろう。

伝家の宝刀、包括的租税回避防止規定(法人税法132条の2)を抜かれてバッサリ切られただけである。

国税庁は、それほど甘くないのである。

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