節税と脱税の間① 偽装は脱税

一般の人にとって、「節税と脱税の違い」は意外と見分けがつきにくいように見える。

今朝こんなニュースが流れた。

大阪の資産家らが相続財産を社会福祉法人に寄付したように偽装し、約5億円を脱税したとされる事件で、脱税をした本人ならびに脱税を指南した税理士が容疑が固まりしだい逮捕される模様である。

偶然にも、この事件に関わっている税理士はよく知っている。過去に、少し強引なやり方で、わたしのクライアントを奪われたことがあった。確か、クライアントの名前で自らが顧問契約解除の内容証明を書き、職業上知りえた秘密をもらしてはならないと添え書きをつけ、自分の事務所の近くのポストに投函した男である。

まあ、それはいいとして、なぜこのような脱税指南を専門家がしてしまうのかである。大抵の節税スキームでは、法的形式用件は殆ど満たしており、当然、契約書や取引自体に違法性がないことが多い。本件については遺言書の偽造があったので論外で、即、これは脱税になる。素人は過去に遡って契約書を作っても問題ないと考えているようだが、これはもう私文書偽造という立派な犯罪に当たる。

本件の場合、仮に遺言書が偽造でなかったとしても、社会福祉法人に寄付した行為に問題がある。つまりその動機や手続きに不自然さが目立つのである。おそらく、この取引に関わった人たちに、財産の一部をプレゼントして、大半の財産処分権は本人もしくはその遺族が保持し続けたであろう。現実に1億円のお金が入金後すぐに法人から流出している。結局、社会福祉法人は相続税回避のという目的にのみ利用されたわけだから、仮に、手続きに瑕疵がなかったとしても、無効ということになる。

結局、会社法では法人格否認、所得税では行為計算の否認、法人税では租税回避という伝家の宝刀を抜かれてバッサリ切られるわけである。スキームが複雑であるほど、専門家は策に溺れてしまい、またその法外な報酬に幻惑されてついつい禁断の実を食べてしまう。しかし、いかに、スキームが複雑で、それが法的に正しかろうが、それらは「大幅な節税=脱税目的」という一本の糸で繋がっている。ようするに、課税公平の見地から著しく逸脱しておれば、それだけで、アウトである。

こういった脱税の場合、本人の罪もさることながら、専門家自身の責任も大きい。コンサルタント料の返還は当然としても、相続税の重加算税、延滞税も負担しなければならないであろう。

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