物納の要件
相続税の納付は、金銭による一括納付が原則であるが、期限内に金銭納付が困難な場合は、一定の条件のもとで、分割納付つまり延納ができます(相税法38)。
さらに、延納によっても金銭納付が困難な場合は、一定条件のもと、相続財産による納付つまり物納ができます(相税法41)。
物納申請する場合は、延納によっても金銭納付が困難な金額を算定しなければなりません。
この金額のことを物納許可限度額といい、「金銭納付を困難とする理由書」で計算します。
物納の要件としては
- 延納によっても金銭で納付することが困難な金額の範囲内であること(相令17)
- 申請財産が定められた種類の財産で申請順位によっていること(相続法41②④⑤)
- 申請書及び物納手続き関係書類を期限までに提出すること(相続法42①)
- 物納適格財産であること(相続法41②)
物納に充てることのできる財産の種類
物納に充てることのできる財産は、次に掲げる順位による(相続法41②④⑤)。
第1順位
① 不動産、船舶、国債証券、地方債券、上場株式
② 不動産及び上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
第2順位
③ 非上場株式
④ 非上場株式のうち物納劣後財産に該当するもの
第3順位
⑤ 動産
不動産は第一順位
不動産は第一順位であり利用区分に優先順位の定めがない。
したがって、土地に上物が建っており、借地権が発生している貸宅地でも物納が可能です。
ただし、貸宅地が物納に適しているかどうか別途には調査されますが、契約当事者が通常の契約を結んでおれば、物納は許可されます。
不動産物納の可否
不動産を物納する場合は、相続税に見合う大きさの不動産があればよいが、そうはいかない場合が多い。
不動産が土地の場合、相続税に見合う大きさに見合わない場合、分筆も考えられる。
しかし、分筆した土地または残りの土地が、通常の用途に供しなくなる場合には分筆できない。
そこで、物納許可金額を超える面積の不動産を物納できる場合がある。
これを超過物納というが、その場合には差額を計算して、過誤納金として金銭で還付されることになる(相続基本通達41-4)
還付された部分については、譲渡所得となり所得税の対象となります。