1 概要

高齢化社会になり、お年寄りが長年住んだ自宅から老人ホームに移り住むケースが増えてきた。こういった場合に、従来、居住のように供していた土地、家屋につき、小規模宅地の特例が受けられないのは、少し酷である。

そこで、一定条件を満たせば、被相続人の居住の用に供されなくなる直前まで、被相続人の居住の用に供されていた一定の宅地等についても、これを被相続人等の居住の用に供された宅地に含むものとされた。

2 基本的要件

❶ 要介護認定

A 被相続人の要件

被相続人が相続開始直前までに要介護の認定を受けていることが、必要ですが要介護1~5の介護度合は問われません。(介護保険法第19条の1項に規定する要介護認定又は同条第2項に規定する要介護認定を受けていた被相続人)

B 入居住居又は入所施設の要件

(イ) 老人福祉法第5条の2第6項に規定する認知症対応型老人共同生活援助事業が行われる住居

(ロ) 老人福祉法第20条の4に規定する養護老人ホーム

(ハ) 老人福祉法第20条の5に規定する特別養護老人ホーム

(ニ) 老人福祉法第20条の6に規定する軽費老人ホーム

(ホ) 老人福祉法第29条第1項に規定する有料老人ホーム

(へ) 介護保険法第8条第27項に規定する介護老人保健施設

(ト) 高齢者の居住の安定確保に関する法律第5条1項に規定するサービス付き高齢者向け住宅((ホ)に規定する有料老人ホームを除く。)

❷障害者認定

A 被相続人の要件

障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第21条第1項に規定する障害者支援区分の認定を受けていた被相続人

B 入居住居又は入所施設の条件

  1. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条11項に規定する障害者支援施設(同条第10項に規定する施設入所支援が行われるものに限る。)
  2. 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第5条第15項に規定する共同生活援助を行う住居
❸ 判定時期

被相続人が要介護認定等を受けていたかどうかの判定時期は、相続の開始の直前により判定される。ただし、所定の施設に入った時期には要介護認定を受けていない場合でも相続開始の時点までに受けていれば(間に合えば)条件を満たします。

❹ いくつかの論点

A 配偶者はオールマイティ

被相続人が老人ホームに入居しても、自宅を配偶者が相続すれば、無条件で特例を適用できます。仮に、ご夫婦で老人ホームへ入られても、適用できます。

B 同居親族

自宅に元から居住している親族がいる場合は、生計一、生計別を問わず、適用できます。

C 居住が切断されたとき

被相続人が老人ホームに入ったあと、その空き家に、生計一の親族以外の者が入居したり、また、空き家を賃貸した場合などは、居住が切断されたとみなされ適用はありません。たとえば、空き家となった留守宅に、生計が別の親族が入った場合にも適用はありません。