藤井聡太六段、将棋界の話題を独り占め

第11回朝日杯将棋オープン戦

1 すくすくと育っていた

再び、将棋界の話題を、藤井聡太六段が「独り占め」し出した。つい最近、羽生善治渡辺明から「竜王」を4勝1敗で奪い、その結果、羽生さんが、7大タイトルの全てにおいて、永世資格を獲得したというニュースも、驚愕のニュースだった。それがどんなに凄い偉業なのかについて書こうとしていた矢先、世の中の興味は15歳の天才棋士に再び注目が集まっている。
というのも、史上最年少棋士(現在15歳6か月)の藤井聡太は、朝日オープン戦という全プロ棋士が参加するトーナメント戦で優勝してしまったからである。その結果、将棋連盟の規定により六段に昇段。史上最年少のタイトル戦優勝と六段昇段の二つの栄冠を同時に手に入れてしまった。
プロデビュー以来29連勝の新記録のあと、佐々木勇気六段に敗れはしたが、その後も、すくすくと育ち、力を付けていたということになる。

2 準決勝羽生戦で見せた藤井五段の凄み(4三歩、勝負一瞬の揺さぶり)

朝日オープン戦のトーナメント表を見てみよう。

やはり、凄いのは準々決勝で佐藤天彦名人を下し、準決勝で羽生善治竜王を下したことであろう。決勝も準決勝も公開対局だったが、特に羽生戦はチケットが即完売したそうだから、いかに将棋ファンが羽生戦に注目していたかが解る。

この将棋を私なりに分析してみたい。

先手の藤井五段(対局当時)は、後手の羽生竜王が今流行りの雁木囲い(がんぎがこい)に組み上げる直前に仕掛けた。この早い仕掛けは、研究していた手というよりやはり「これで十分指せる」というヒラメキであろう。その後、先手の藤井五段(対局当時)は、端歩をつき捨てた後、ど真ん中の5五に銀をぶつけ、銀交換をせまる。羽生竜王は8八歩と手裏剣を放ち、これを金で取らせることで壁にして先手陣を弱体化した後、5五の銀を交換した。この時点まではAIの評価値はわずかだが後手有利を示していた。その瞬間である。79手目、先手は取れる銀を取らずに、4三歩と王頭に焦点の歩(相手の駒が何重にも効いている箇所へ歩を打つこと)を打った。わたしの棋力では、この歩を何で払えばいいのかまったく分からない。ただ、おそらく、羽生竜王も、一瞬、迷われたかも知れない。取れる銀を取らずに放ったこの常識外れの一手こそ、本局の勝因ではなかろうか?羽生竜王はこれを左の金で払ったが、この結果、先手の飛車成り(非常に価値のある手)が確定する。後手は先手の8八金を攻めるために9九に銀を打つが、羽生竜王の感想によると銀ではなく角だったらしい。というのも、角であれば、本譜のような金のかわしは効かない。つまり、9九角であれば、同じように先手が金をかわせば、5五の銀を、角で、ただで奪わられてしまうからだ。羽生竜王のこのミスがなぜ生じたのかというと、常識的には小さい駒を先に使い、大駒を後に残す方が安全だからである。このミスの誘因は、直前の4三歩の揺さぶりにあったことは明らかである。この小ミスの後、形勢は次第に先手有利に傾いて行った。

3 藤井六段、強さの秘密

過去のブログで藤井四段(対局当時)について、「実戦派ツメキスト」「恐るべき胆力」を書いたが、やはり、その強さの秘密は、彼が詰将棋の天才であることが影響していると思われる。おそらくその解図力(詰将棋を解く速さと正確性)において藤井六段を超える人は当分出現しないだろう。つまり、藤井六段の脳の中には、詰将棋で鍛えた「意外性の発想」というものが、常に用意されており、それが実戦将棋でもフルに生かされているということだ。もちろん詰将棋の能力だけで勝てるものではない。加えて、藤井六段は誰にも増して、勝ちに対する執念が強く、不利な局面でも、相手が間違う可能性の高い手を選ぶことができる。そのためには、読みの範囲が桁外れに広く深いということだが、これもまた詰将棋の実力に負うところが大きいのではないかと思う。

4 藤井六段との趣味の共通点

ところで、藤井六段は音楽ではスピッツの大ファンだそうだ。彼は、一般の人気曲ばかりではなく、「名前をつけてやる」「魔女旅に出る」といったようなユニークな曲も名曲と評価している。スピッツファンのマッスンとしては嬉しい限りである。

この他、作家の百田尚樹さんのファンであることも私と共通している。やはり、頭のいい人は趣味が似てくるのかもしれない(笑)。

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