「日本国紀」百田尚樹を読む ③ 元寇襲来を阻止したのは神風が吹いたからではない

「日本国紀」百田尚樹

1 文永の役(元寇1回目の襲来)

12世紀の終わり、チンギス・ハーン率いるモンゴル遊牧民族は高麗インドロシアアフガニスタンペルシャを滅ぼしユーラシア大陸の殆どを支配した。

チンギス・ハーンの孫の当たるフビライ・ハーンは中国大陸を支配し元帝国を築き、日本を服属させようと食指を伸ばしてきた。文永五年(1268年)、フビライは高麗の使者を介して武力制圧をほのめかす国書を送ってきた。ところが、時の執権北条時宗は満16歳という若さで、蒙古とは一切交渉しないという英断を下した。時宗は蒙古がいかに強大な帝国であるかを知らないわけではなかったが、その恫喝に委縮することはなかった。

最初の国書が送られてから6年後の文永11年(1274年)10月5日(新暦11月11日)、蒙古軍は700~900艘の軍船に4万人の兵士を乗せて襲ってきた。

蒙古軍はまず対馬を襲い、次に壱岐を襲い、多くの島民を虐殺した。蒙古軍は捕虜の女性の掌に穴をあけ、そこに縄を通して船べりに吊るしあげた。そして、蒙古軍はついに博多に上陸した。しかし、そこで九州の御家人らは命がけで立ち向かい奮戦する。蒙古軍特有の集団戦法と毒矢や火薬攻撃に苦しめられながらも、御家人は懸命に戦い敵軍に相当なダメージを与えた。結局、わずか2週間で蒙古軍は退却した。退却時に玄界灘の大時化(おおしけ)に会い、多くの船が沈んだらしい。軍船は、高麗がにわか仕立てで作ったオンボロ船であったため、強風に耐えられなかったものと想像される。

2 弘安の役(元寇2回目の襲来)

時宗は蒙古の再度の襲来に備え、博多湾沿岸に石塁を造った。フビライは南宋を滅ぼした後、再び、日本侵攻に着手する。そして日本に服従を要求する使者を何度か送ってくるが、時宗はことごとく彼等の首を刎ねた。

弘安4年(1281年)5月、蒙古軍と高麗軍の兵士4万人を乗せた900艘の軍船が高麗を出航した(東路軍)。さらに、江南からは約10万人の旧南宋の兵士ら約10万人を乗せた約3500艘の軍船が出航した。これは世界史上最大の規模で、「文永の役」の約4倍の規模となった。フビライの本気度が分かるのは、農機具まで積んできたことで、つまり、征服して長期間住むつもりであった。

幕府は御家人だけでなく、非御家人にも出動を命じる。鎌倉武士団は一致団結して蒙古軍を迎え撃った。東路軍は対馬を襲った後、博多上陸を試みるが20キロにおよぶ石塁と鎌倉武士団の激しい抵抗にあい、上陸を断念する。6月6日東路軍は志賀島を占拠し、軍船の停泊地とするが、鎌倉武士は夜襲をかけて蒙古軍を脅し、8日9日に総攻撃し蒙古軍を打ち破る。江南軍の到着は遅れ、東路軍は敗戦で衰弱し3000人もの死者が出た。

6月下旬ようやく江南軍が壱岐に到着し、東路軍と合流した。4000艘を超える船団が壱岐から平戸島一帯を覆った。江南軍と合流した東路軍は太宰府攻撃に備えて鷹島沖に停泊するが、7月27日、日本軍の軍船が戦いを仕掛けた。日本軍は小舟から蒙古軍の船に乗り込み、白兵戦を挑んだ。戦いは夜を徹して行われ、日本軍は朝に引き上げた。蒙古軍は日本軍の襲来に備えて、28日から29日にかけて土塁を築き、軍船同士を鎖で繋いで砦のようにした。

しかし、7月30日(新暦8月22日)夜半、九州北部を超大型台風が襲った。このため多くの船が沈没した。軍船の大半を失った蒙古軍の将軍たちは、鷹島に約10万人の兵士を残して撤退した。残された蒙古軍たちは、島の木を伐り、船を作って逃げようとしたが、日本軍の掃討戦にあって、蒙古人と高麗人は皆殺し、南宋人は捕虜にされた。

<百田尚樹氏はコラムで次にように述べている>

弘安の役」では台風(神風)によって、日本軍が勝ったように言われているが、台風が来なくても日本軍が勝っていたであろうと。つまり、始めから蒙古軍は博多に上陸できずに苦戦していたこと、また本州から数万の援軍が進軍中であったが、到着するまでに、すでに戦いは終結していた。加えて、蒙古軍の兵糧はあと1か月分を切っており、長期戦は持ちこたえられなかったと思われるからだ。

鎌倉幕府の北条時宗という将軍は、蒙古から日本を守るために生まれてきた軍神であったと。

3 元寇を打ち破った事実は海外からの侵略の抑止力となっていたのでは?

ここからは、わたしの考えだが、世界を制覇した蒙古軍を2度までも叩いた軍事力と鎌倉武士の日本を守る強い意志には敬服する。この元寇撃破伝説は、当時、おそらく世界中に広まったと思われる。その後、明治維新に至るまで、日本が海外の侵略を受けなかったのは、この時の鎌倉武士の勇敢な戦いが抑止力になっていたのではないかと思われる。

さて、日本の国会議員は「桜を見る会」に招待したメンバーがどうだ、ああだと、下らない議論を繰り返し、いたずらに国会の時間を浪費し、国民の税金を無駄使いしている。

もう少し、国防について、また憲法9条について真剣に議論してはどうなのか?

中国や北朝鮮はもとより日本を狙っているのでこれに備えなければならない。また、韓国も随分雲行きが怪しい。それに最近のトランプ大統領の発言からは、本気で日本を守る気があるのかどうかも疑わしい。そのうち、同盟国のアメリカからも突き放される可能性がないとも言えない。

日本人は、政治家も含めて、北条時宗と鎌倉武士の愛国心と心意気を、改めて学ぶ必要があるだろう。

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